2022年11月12日土曜日

リストラ

 

  大儲けしているので5000人も従業員がいる会社を買った。買い取った会社の収益をすぐに出すため従業員の半数を解雇して、人件費を大幅に削減した。経営理念は金儲けだけだ。従業員の人生など微塵も考えていない。幸運にも残った人たちも、いつ首を切られるかと、びくびくする。過去に最も多かったのが富士通の2850人、次にルネサスエレクトロニクスの約1500人、ジャパンディスプレイ約1200人、東芝1060人、コカ・コーラボトラーズジャパン約950人、アステラス製薬の約700人。各社やっている。いわゆるアメリカ型経営である。

わが国で顕著になったのは1990年代初頭のバブル崩壊以降だったとおもう。失われた20に代表される長期の不景気時代、容易なリストラ方法である。早期退職募集を行う事例が官民を問わず急速に増加した。

戦後の高度経済成長を支えた日本独特の雇用システムを日本型経営と呼ぶ。欧米には見られない「終身雇用制」「年功序列型賃金体系」「企業内労働組合」の三点である。

私は典型的な日本型経営論者だ。志向館に退職はない。好きなだけ働ける。昇給は生徒数の増加等で収入が増えると一律に上昇する。一ヶ月近く入院しても給与はいつもと変わらず支給する。組合は作るように進言している。是非もなく「苦楽を共にする」のが志向館の経営理念だ。

2022年10月17日月曜日

旅行支援


全国旅行支援で多くの人たちが各所に出かけ、これまでのコロナの影響で出控えていた観光地にも観光客が戻ってきているそうだ。大きなうねりとなって経済が活性化されるといい。ところで、ホテルや旅館の世界にはダイナミックプライシングの仕組みがある。コロナ禍では、これまで1泊1万5千円だったところを一泊1万円にして宿泊客を集めていたが、支援が始まるとすぐさま1万5千円に戻すどころか2万円に値上げするようなところもあるとか。一瞬、不実だと思ったが、元々、宿泊業界は盆暮れなど、宿泊客など多く集まるときほど値段を上げるシステムがある。ダイナミックには「動的」「力強いさま」とあるが「力学的」という意味もある。機械的という意味にもとれる。機械は決まった動きをする。経済学的にいうと需要と供給だ。供給(客室)が一定していれば需要が上がると価格は上がる。これは法則だ。決まった動きだ。自分は観光客の立場だし、志向館では「来週から値上げ」など学費の変動は難しい。さらに、塾は国の補助金などいただけない。ダイナミックに変動する宿泊費は実は力学的に変動するという意味かと、ムッとせず、経済の起爆剤となるよう祈りましょう。

2022年9月19日月曜日

不正受給

政府が国民を救うべく手立てを講じてくれる給付金の不正受給が後になって公表される。「なんで交付後に?交付前の審査は?」と思うが、困っていたり苦しんでいる人や会社を救うのが先決だからで、書式を厳格にし、書類を細かくチェックする仕組みを構築している時間もない。スピード感が求められる。そこで、不十分な管理体制でも、とりあえず始めることになるのだろう。不正受給の可能性が予見できても、現地調査など実施せず給付金の交付を始めてしまう。何か月も経過してホームページで受給者の一覧を発表する。総額100億など、驚きの金額が発表される。受給の仕組みを作る政府の役人は高学歴で優秀だ。どうすれば不正を行うことができるかなど、初めからわかっているのだろう。受給のスピードをあげ、困っている人を幅広く助けるという目標は国のあるべき理想である。では、どうすれば不正受給を減らせるかは個人の道徳心や公共心の問題である。不正がある限り刑罰は必要だ。交付の前に大きな予算と労力をかけて不正受給を防止し、不正を暴くのにも大きな時間と労力がかかる。志向館の予備校で倫理を教えているので、イギリスの功利主義のJs.ミルの内的制裁を思い出す。内的制裁の基本は教育にあるだろう。公共心を育み、正義感を育てる教育は学校だけに任せておいても足りない。大人が皆、正しさを教える先生になれば、かなりの国費の節約となろう。

2022年8月22日月曜日

クラブチーム

受験間近になってもクラブチームに参加し続ける中学生が目立つ。よく聞くのはサッカー、テニス、バドミントンである。「週に3回は練習です。習いたい科目と練習がかぶります。」「突然練習が入ることがあって…」「日曜は試合で模試とかぶってます」など、保護者は子ども任せで、というよりは高校受験まで半年のところで、汗まみれで疲れ果てて帰ってくる子どもを見て焦らぬ親はいないが、「子どもがどうしてもというのだか」と子どもの嗜好を尊重する。志向館に限ってだが、そういった館生の成績は難易度にかかわらず志望している学校の合格基準には遠い。

このままでは、高校入試という試合に負けそうだ。チームの指導者はどう考えているのか。最終的に「スポーツは本人が決めたことですから」というのでは指導者としてどうかと思う。私が青少年の指導者に思うことは、打ち込むことがなんであれ、「全人的な指導を心がけていただきたい」に尽きる。「スポーツの指導者だからスポーツだけの指導」では済まない。指導者の皆さんには教育者であってほしい。教育の目標は「知徳体」の総合的発達にある。確かに子どもは自分で決めた。しかし、指導者がかねてから、そうコントロールしている場合もあろう。試合に勝つには一生懸命「練習」が必要ですと、指導者の方たちはおっしゃってきたのではないでしょうか。なら、12月まで続けると意気込む子どもには入試の練習時間が足りませんと受験の指導者は言うしかない。

2022年7月17日日曜日

出生率


今年で志向館は38年。仕事柄、出生率は気にかかる。朝日新聞で出生率2.95の町というのが目に飛びこんできた。全国では2021年で1.3である。倍以上だ。紙面では育児相談室はもちろん、高校までの医療が無料、保育料も第1子で国の基準の半額、第2子にも減免あり、焼酎はは給食費補助、教材費(教科書はあたりまえ)の無料、3LDKの若者住宅に5万/月で住める。考えられることはすべてやっている感じだ。財源は役場の職員や議員の給与を減らしたりしているそうだ。頭が下がる。しかも、職員の方のお話だと、子ども大切にすることが高齢者を大切にすることにも繋がっていくという。町外から通う高校生のバス代に毎年13.5万円を支給するそうだ。目論見は、通学に高校生がバスを使うとバスの利用者が増え、赤字路線として廃止しにくくなり、車の運転がし辛い高齢者の方の足が確保できるというのだ。よく考えたものだ。ここまで来るのに15年かかったらしい。行政の手本である。目先の利益にとらわれ、その場しのぎの施策を打ち、後にそれぞれの施策が矛盾するようなことでは、財源の無駄、時間の浪費である。塾も誘致してみてはどうか。「町の人は月謝を20%割り引きます!」割引額の補填は?町と塾側で10%ずつ負担してみてはどうか。

2022年6月10日金曜日

円安

円高だと輸入に不利。円安だと輸出に有利と習った。確かに為替のレートを考えてみると簡単だ。例えば対ドルで円の価格が100円と130円では、アメリカで1ドルの品物を買うのには100円で買えるものが130円払わないと買えないということになり、円安は大変だ。輸出はその逆でアメリカがこれまで100円だった品物を130円払わないとアメリカが輸入できないことになり、大変だ。ここ数年前から経済分野では常識になっている話だが、輸出入両方で円高が有利と言われている。毎年、志向館の予備校生には「鋭い洞察の時間」(命名はやや大げさで笑いを込めて)を週に1回、授業の一環として取り入れている。今日の"お題"は「近年では輸出入とも円高が有利」と言われているが、それはなぜか、10字程度で「鋭く答えよ」というのである。寺町の予備校生30名全員が「鋭く」答えられなかった。理由は簡単である。日本の製造業は外国で稼働している会社が多々あり、そこではドル建て賃金で支払うことが増えてきているからである。世界経済は基本ドルで動いているのだ。

政治や経済が必修ではない高校がある。高校で学ぶ歴史や地理(地歴)は生活に直結していないところが多い。役立つことはもちろん多々あるが、内容が細かすぎる。受験では高度な知識を大学側が要求しているのだろうが、日常生活では物価の高い低いは重要だ。物価の上昇下降のメカニズムを学ぶことは学問の領域からして、さほど難度の高いことではない。だから、教えないではなく、ならばみんなが知っていてほしい。そんな知識を知る機会が高校の授業には意外と少ない。

2022年5月9日月曜日

ファスト映画

 大手の映画会社が「ファスト映画」=ストーリーが短時間で分かるようにした編集画像をユーチューブ等にアップしたとして多額の損害賠償を求めて注目された。

  近年「タイパ」(タイムパフォーマンス)を重視する風潮が強い。多くの情報を入手したいと思えば、数多い映画から「はずれ」を引きたくない気持ちで、どんな映画を見ようかと、あらかじめ選ぶのも、気持ちは理解できる。しかし、あらすじを知っていることと作品として「鑑賞」することは別物である。 
  ここ3年、志向館の予備校で現代文を教えていた。あらすじだけわかっても共通テストの解答を導き出すことなどできないこともある。「…その心構えについては受け止めたいような思いが心をかすめた。」(2022共通テストより)は小説文の正解の選択肢だ。本文を十数行読んでみると「その心構え」と言われる些細な行動が記されているのがわかる。本番の試験ではどの受験生も、きちんと読もうとするが、小説を読み解く修行の場は映画やドラマにも多々ある。「細い首に支えられた坊主頭・・・」(2022共通テストより)中学生になったばかりの少年で、外観にあらわされるバランスの悪さは、心の不均衡をも暗示している。
  共通テストを引き合いに出すのは高校生諸君に言いたいからだ。映画作りに取り組む監督は小説家と同じだ。1カットを何度も繰り返しOKが出る。それは監督が微細な表現を通して「あじわい」ある作品を作ろうと必死だからだ。小中学生のころから、本を読むことと国語の成績に相関があるといわれるのは、本から「あじわう」修行をしているからだ。映画やテレビドラマでも同じで、監督と迫真の演技の役者が作る小説である。全部見終えて、つまらぬ作品と決めるも「また良し」である。同様に「あじわい」を求めてドラマの1作品を通して見て「つまらぬ」と判断するもまた国語力になる。