2023年8月13日日曜日

夏期合宿


夏期講習が始まりました。今は合宿所にいます。講師も含めて100名を引率しての合宿です。今年で28回目となりました。思えば、志向館の初期の合宿は館内合宿でした。2泊3日で、寝るところは教室でした。寝る前は掃除です。掃除機かけて雑巾で拭いて、貸し布団屋さんから布団を借りました。参加者は十数名だったと思います。塾舎の隣が自宅なので、自宅で作った料理を運び込みます。授業は2泊3日で90分10コマだったと思います。
 一つ所で寝食を共にするのは、その後の学習面で大きなプラスになります。日常の当たり前の食事や入浴、就寝といったことも、合宿所では日常生活とは違った特別な経験になります。例えば食事。私たちが利用した施設はビュッフェ形式で、同じ膳を食べるのではありませんが、それでもコロナ禍ほどの制限もなく、「〇〇どうやった?」「ちょっと酸っぱい感じ」「今から追加もってこよっと」「ご飯大盛」「この倍は行ける」のような会話が飛び交います。入浴も合宿ならではの制限があり、「今日は2時間程度の入浴時間で300名が使います。志向館の女子は15分で上がってください」と指示が出ます。ワーワー、ドタバタ、キャーキャーで入浴を済ます日もあります。共同生活の自覚があるので不満もなく「おもしろかった」が感想です。就寝にしても、赤の他人と寝ることは稀なことです。
 合宿が終わって、通常の授業に戻ってもしばらくは話題が続きます。合宿後の1週は参加者に会うと、「体調は」と聞きます。さらに「週末の模試で効果でるといいな」と続けます。その後も、「あんときの食事」「あんときの風呂」といった話題は続きます。学習目標とは、勉強して、理解できて、模試で成績が上がるというものですが、希薄な人間関係より寝食を共にした教師と生徒の関係は一歩踏み込んだ対話の発展につながります。共有した経験は「本音をいう」「腹を割って」という会話がしやすくなります。学習自体は無味乾燥。そこに寝食を共にした経験が加わることで、教師と生徒の関係に幅や深みが加わるといってもいいでしょう。

2023年7月23日日曜日

CO2を出さない発電

テレビCMで「CO2を出さない火で火力発電をする」という試みを知った。火は木を燃やしたり、石油、石炭などを燃やして燃焼を持続させるのが当たり前だ。木は燃焼するとC(炭素)+O、ちゃんと書くとC+O2=CO2である。灯油の分子はC11H24など、石炭はシリカという物質SiO2が主成分だそうだ。O2を加える(燃焼)と、Cが含まれているのでCO2が発生する。
 ところが、燃焼してもCO2が出ない物質で火を作れるそうだ。日本は総発電数の70%以上を化石燃料に頼っているのが現状。先進国の脱酸素化のトレンドからすると、肩身の狭い日本にとってはありがたい話である。
 JERAの奥田久栄 副社長のお話では、カギを握るのは「アンモニア(NH3)」と「水素(H2)」で、化学式からもわかるように、この2つにはCが含まれていない。つまり、燃やして酸素と結びついても、CO2が出ないのだ。特にアンモニアに注目しているそうだ。新しい燃料を扱う際は、それに適した新しい発電設備をつくる必要があるのだが、アンモニアの混焼(混ぜて燃焼)は、既存の発電設備を少し改造するだけで実施できるそうだ。石炭火力は80メートルもあるボイラーという炉で燃やされ、水を蒸気に変えてタービンを回すのだが、簡単に言うと、CO2を出さない火力では、石炭の代わりにアンモニアを燃やすのだそうだ。それも今使っているボイラーをそのまま使えるので、設備投資がかなり節約できる。
 気になるのはアンモニアの調達だが、地球に眠っている土を掘り返さなくて済みそうだ。電気は使うが、工場で作ることができ、技術力で勝負できるのは日本にとってありがたく、資源を持つ一部の国に依存する割合が減り、資源をめぐって政治的な対立が起こりにくいと予想される。いずれ、レアーメタルなんぞなくても、いろいろな製品が作れるような時代がきっと来るように思う。技術立国に生まれた高校生諸君よ!勉強しましょう。

2023年6月22日木曜日

整形手術

 


6月20日の朝日新聞に「二重手術 高校合格のご褒美」という見出しで、袖書きに「10代の美容医療増加 揺れる親」とあった。高校に合格した暁に、ご褒美で二重を作る埋没法(瞼を糸で留める方法)手術の約束してもらった女子の話が冒頭にあった。手術は自由診療で50万。でも、モニター価格で5万円と言われ、親も納得してくれたとのこと。

1週間で手術後の腫れも引き、人と目を合わせることが嫌ではなくなって、「気持ちが明るくなった(本人感想)」そうだ。朝日新聞の紙面には湘南美容クリニックの広告が(SBCマーケティング提供)掲載されていた。キャッチフレーズは「たった3年の高校生活。一秒でも長くカワイイ私で過ごしたい」だった。完全なルッキズムである。10代の女子で二重にする手術を受けた人は、2019年の1万6千人から2022年では26千人に増加したそうだ。インターネットで検索してみると「手術時間15分、両眼4,800円」という見出で、TCBというwebサイトに、いくつものクリニックの名前が載っていた。金沢では駅前にあるようだ。ここまで気軽に、簡単に、低コストとなれば、「学校帰りに、いただいたお年玉持って・・・」のキャッチフレーズも現実にあり得るかもしれないと思った。                                                                      

社会学的にみると、ルッキズムは「社会(男性社会)による押し付け」としてとらえることもできる。ここでは美容整形は「社会に流布する女性美の模範に合わせる」(バルサモ)になるそうだ。

大阪樟蔭の松下先生の大学生、大学院生(87名)のアンケート調査によると反対論者の大半は「親からもらったものに傷をつけることの抵抗感」「人をだますことになる」など道徳的な観点と「副作用、後遺症の心配」医学的観点の2つに絞られる。道徳心の抵抗にしても、副作用や後遺症の恐怖にしてもどちらも払拭しきれぬものがある。まして、副作用は低い確率でも起こっている事実は否定しがたい。

しかし、とりあえずの結論としては、整形は個人の判断というしかない。心的満足度はその人にしかわからない。「きれいになった」の一言が欲しいのは強欲でもなんでもなく、誰しもが持つ願望といってもいい。したければすればいいと思う。まして、それで気持ちが明るくなって人生に前向きになれればいいと思う。高校生は確かに目にコンプレックスがある子が多く、二重瞼であればどれほど幸せかというのは聞いたことが何度もある。「人ときちんと向き合る」ことは学業にもいい影響がでる。

これからも、整形は増えてくると思う。特に目に関するプチ整形の件数はうなぎのぼりだと思う。でも、整形が一般化すると、こんな会話があるかも。男子:「君かわいいね。整形?」整形経験の女子:「ちがうよ。」このような会話が交わされると、「虚偽」が成立し、法定離婚事由に該当することがあります。整形は自由だが、人を巻き込んだ一生モノの決断では正直が何よりかと。

 

 

2023年5月25日木曜日

株高

価は5月22日の上昇で3万1千円台に乗った。理由はいくつかあるが、海外の株式投資家が日本株を買っているのが直接の要因である。有名なアメリカの投資家ウォレン・バフェットが日本株への投資を明言したからだ。バフェット氏は日銀の植田新総裁が大規金融緩和を継続したことやアメリカの銀行の破綻問題を受け、今は日本の企業が強いと踏んだのだろう。さらに、拍車をかけているのが、日本の企業が自社株を購入していることだ。自分で自分の株を買えば当然株価は上昇し注目され、他の投資家の一層の株式購入を促すことになる。また、円安が続き日本株の上昇が続く可能性は高い。円安は海外資本が日本株を買い安くしている要因でもある。しかし、日銀が市場介入を行い、ドル売り円買いを行う向きが見られない。介入の脅し文句すらない。理由は簡単だ、企業は株が上昇することで、資産の含み益が増大し、銀行などから資金調達がしやすくなる。延々と続く低金利策と株価の上昇は日本の企業にとって追い風である。好景気の呼び水である。もちろんここで、給与を上げないと、国民全体に低金利と株安の恩恵は届かない。しかし、企業は内部留保に懸命だと聞く。
 最近「株をやらないか」と証券関連の方は勧めてくる。本来、企業は業績を上げ、業績に見合った株価がつくのが正常だが、株に殺到して上がった利益を得ることだけを考えるいわゆる相場師的発想には必ず下落がある。特に素人がこぞって市場に参入してくると。どこが最高値かわからなくなって、高値で買い、いきなり下落し、損をする人が出てくる。最後に泣くのはたいがい素人である。
 高校生にどんな人になりたいと聞くと、はばかることなく「お金持ち」と答える生徒もいる。いい答えだ。今度、株の話をしよう。いいところも悪いところも。そして必ず勉強しないと株では勝てないと付け足そう。

2023年4月30日日曜日

AIと向き合う

 

海外掲示板「Reddit(アメリカの掲示板型ソーシャルニュースサイトで自由に画像などの投稿ができる)1923年、H.T.ウェブスターという漫画家が、米「ニューヨーク・ワールド」紙に、2023年を予測した1コマ漫画の掲載があったそうです。この漫画は、1世紀後の現在、AIによる画像合成が進み、実際に作品を自動生成できるようになることを予期させるものが示されていて話題を呼んでいます。
こんなことができたらと創造したことは、未来に類似したモノが必ず実現する。人が月に住むなんてもうすぐだろう。私は小学生のころ「未来の私たちの絵」というテーマで図画工作の時間に月まで届くエスカレーターをクレヨン画で描いた。当時デパートにエスカレーターが設置され、珍しかったからだ。じっとしていて月まで階段が運んでくれる未来を創造した。出先で電話ができると便利だと感じ、1980年代は数キログラムもある携帯電話が登場し、お金持ちが車の中から車載電話をしていた。それから40年。カメラ機能を持つPCに進化し、子供も持っている。
同時に新たなマイナス面も現れ発展していく。近いうちに月での資源開発競争で、必ず国同士の衝突が生まれるだろう。スマホは誹謗中傷の道具になり痛ましい事件の直接の原因となることもある。しかし、私たちは一度使うようになった便利なモノを排除することはなく、すさまじい勢いで発展させていく。
チャットGPTの普及で一番気にかかるのは教育についてだ。レポートや感想文を書いたり、みんなで協議しあう場でIAを利用することが予想される。レポート等でそのまま提出しないまでもAIに発想を手伝ってもらうことは十分ありうる。また、協議の場で「AIがそう言うのなら」と、決定をゆだねることが恒常的になれば私たちの想像力や総合的な判断力は減退する。
私たちの世界では、モノのマイナス面である危険性の回避は、使用者たちの判断に委ねられ、トラブルの発生は個々人の自己責任に帰結する。極端な例だが、核兵器だってそうだろう。
数直線にたとえよう。プラスの面が増加すると同量のマイナス面が潜在的にも顕在的にも存在し、支点ゼロを中心にバランスをとるには、しっかりした倫理観が必要である。先日G7では「責任あるAI」の実現に向けて合意が交わされたそうだが、具体策が急がれる。

2023年3月30日木曜日

2023年度開校に向けて

  









文科省の指導要領に「・・・未来を拓く主体性のある日本人を育成・・・」「・・・責任感の育成を重視する・・・」とある。主体的に行動すること、そして行動の結果に責任を持つことは高校生の諸君や私たち皆が生きていくうえで最も重要なことだと思う。
 大学受験が終わって、生徒を送り出し、迎え入れるこの時期には志向館が掲げる教育のあり方を考えることが多い。保護者の方を前にしたスピーチや塾、予備校の入館案内の文言を見直す機会が増えるからだろう。
 志向館の「志」は「こころざし」「向」は「追求と努力」。「志向」するところに真の学生の姿がある。結果は自己責任である。不満な結果は自分以外のもののせいにしたがるが、時間がたつと我が身にふりかかったことは我が身で受け止める以外にないことを悟る。
 志向館では4月12日から2023年度の大学受験予備校が開講する。高校3年間やこれまでの学習結果に納得できない若者たちが集まる。安易に納得して自分の「志」を変え、大勢の流れに身を任すよりずっといい。
 皆、色々な顔をしている。ニコリともしない子、やたらニコニコして「どうかよろしく」アピールの子。様々な表情の奥に共通して主体性がある。結果を受け止め、もう一度自身の努力をもって志向する。己が決めた己に対する責任を果たすのだ。勇気ある決断をした若者の未来を全力で応援したい。

2023年2月28日火曜日

LGBTについて

  国連の広報センターの主な活動の中に「LGBT」というコーナーがある。同センターの記述では同性同士の性行為が約76か国で犯罪とされていて、なんと、5か国では死刑の可能性があるらしい。
 経営者の立場からLGBTの方と一緒に仕事をすることを考えてみようと、HPに掲載されている埼玉県の企業向けのハンドブックを読んでみた。そこに性的マイナリティーの方が求める配慮・支援というグラフがあり、その方たちが求める順にグラフがあった。「①同性カップルにも慶弔休暇や家族手当を適用」「②制服や服装規定における配慮」「③健康診断での配慮」「④採用活動における配慮」「⑤差別を禁止する規定」以上が主なものだ。志向館の①~⑤の判断は以下の通りです。
慶弔休暇は友達の結婚式扱いで有給休暇で消化していただきたい。家族手当は法的な証明があれば、問題なく出せる。婚姻は今の法律では不可能なので、養子縁組をしていただくのが一番である。年長者を親、年少者を子として所帯を1つにしていただければ問題ないと思う。志向館には制服の規定がありません。基準は中学、高校生たちの大半が奇妙に思わない物であれば問題ありません。健康診断については定められた病院以外にマイナリティーの方が行きたいと思う病院で、既定の検査が可能であれば問題ありません。ほかの方と同様、費用は志向館が負担します。配慮します。要望を上げてください。個々の事案で考慮しますが、差別はありません。
 追加として、マイナリティーの方用のトイレについてですが、当館のトイレはすべて1人タイプです。出入りが気になるのなら、男女兼用もあります。
 ところで、先だって岸田首相の秘書官の方が差別発言をしたことで騒ぎになった。発言内容は良くない。でも、マスコミの側のやり口も好きではない。オフレコというのが前提で話をさせておいて、話の内容が重大な差別発言だったので、暴露したというのでは秘書官の方も気の毒だ。オフレコの会見の場がどのような質疑応答があったか詳細にわからないし、秘書官の方の発言の各部分を切り取って並べてたのだろうか。総理秘書官は優秀だ。そうやすやすと上げ足を取られることはない。和やかなムードで私見を誘導する記者の質問が多々あったのだろうか。不思議だ。
 国民の知る権利と報道の自由は憲法に定めのある表現の自由において欠くべからざる権利である。マスコミの方はこの責務を担う重責がある。政治の世界には激しい利害相反があるため首相や側近の本音は得難く、オンレコは言葉を選んで慎重になる。オフレコ会見の慣習は興味深い。本音が聞けると記者は記事の中に微妙なニュアンスを盛り込むことができるのではないか。記事がいっそうリアリティーを増すのではないか。今回の事件ではマスコミが自らの首を絞めた。私たちは微妙な臭いを嗅ぎにくくなったのかも知れない。 


2023年1月14日土曜日

共通テスト前夜

 共通テストが始まった。金沢は13℃。自分が記憶している限り、最も気温が高い日ではなかろうか。
 現役高校生の塾部門にはありませんが、予備校は激励会があります。寺町校と城北校、同時開催です。真っ先に「館長のお話し」と、ご指名をいただきます。
 始めに応援グッズからです。真ん中の銀の小粒の包装が見えるのはチョコです。「志向館から愛をこめて」と説明。ティッシュ2種類は鼻セレブと濡れティッシュ。かっぱえびせんでは「勝、パーっと、AB(AB判定が欲しい)戦」などど、和ませようとします。(あまり笑ってくれない) ホッカイロで「手を温めて」、最後に名刺サイズの先生方の寄せ書きを「お守り」として渡します。ちなみに、私の寄せ書きの言葉は「人事を尽くして天命を待つ」。ここからやっと私の話。以下にその要旨を掲載します。

 フランスの哲学者でジャン=フランソワ=リオタール(1998没)は「大きな物語」「小さな物語」という考えを提唱しました。大きな物語は「科学の進歩」「ナショナリズム」「民主主義」など、人が理想を追求する潮流のようなものですが、多様化している現代では、大きな流れの中で見過ごされがちな個人の「小さな物語」こそ大切と主張した人です。
 明日、明後日の共通テストではみんな一人一人の「小さな物語」の主役。試験前の気分は?「ドキドキ」「怖い」「緊張」、それは「小さな物語」の始まり。逆説的ですが、実はそんな気持ちの「高ぶり」はブレーキではないのです。ストレスを乗り切ろうとうする防衛本能です。
 誰でも疲れると眠くなります。怪我をすると痛みがそれを知らせます。体内に入った菌をやっつけるため熱が出ます。自然の反応は止められません。実はその「高ぶり」も皆をベストコンディションにする本能です。「高ぶり」はテンションを上げ脳に血流を流し、いつもより脳を働かせようとしている生理なのです。抑えようと逆らうと、かえってブレーキです。周りにたくさんいても他人は関係ありません。ステージに立つ小さな物語の主人公の自分自身の「高ぶり」を肯定的に受け入れて、よし、これでいい!頭はフル回転という気持ちで試験に臨んでください。

(注) 「小さな物語」はリオタールの言葉を借りただけで、激励会で使った「小さな物語」は正しくは「個人的な物語」です。リオタールの「小さな物語」は時代の主流となる植民者に代表される思想の陰で、それに抵抗した人々の存在があったことを見過ごしてはいけないとの主張です。



2022年12月3日土曜日

1年で一番多忙が始まる

12月になりました。私たちの業界は1年で一番忙しい季節に入ります。
 11月の26、27日に保護者懇談がありました。本格的な準備は2週間前から始めます。まずは高校生の面談です。状況を聞き、評価を通知表にまとめます。表には塾の授業で選択している科目の得点や先生の評価文があります。保護者には口述だけだと後に残らないので紙を使います。
 
 懇談が終わると冬期講習の時間割作成です。夜間の作業で、終了は12時や1時になり、何日か連続します。気も使います。現役高校生の中にポツンと予備校生が入ると移動を考えてあげます。
 時間割が完成すると講師手配です。常勤が8割~9割なので、そんなに苦労はしませんが、非常勤の手伝いは必須です。社会人非常勤は安定していますが、学生非常勤は不安定です。金沢大学は院生あたりも27日くらいまで、何やかやとあるみたいです。すると県外からの帰郷生を当てにして今のうちから連絡をとります。
 12月の12日から教材の印刷です。志向館はほとんどがオリジナルなので、授業の内容にあった質と量の調整がうまくできて、1講座1冊で未消化がないので、達成感があり無駄もありません。オリジナルは生徒にとってはいいのですが、製作は大変で、1,000冊近くの教材の製版の労働量はすさまじく、刷っても刷っても終わりません。
 講習が始まってしまうと事務系は一休みですが、講師は1日きっかり8時間は教室で授業です。正月も含み約10日の苦行が続きます。別会社のインターアクト(中等部)も志向館グループです。講師によっては30講(30コマ)以上教材研究があります。
 私たちのマインドを支えてくれるのは中学生や高校生の未来への責任感です。

 


2022年11月12日土曜日

リストラ

 

  大儲けしているので5000人も従業員がいる会社を買った。買い取った会社の収益をすぐに出すため従業員の半数を解雇して、人件費を大幅に削減した。経営理念は金儲けだけだ。従業員の人生など微塵も考えていない。幸運にも残った人たちも、いつ首を切られるかと、びくびくする。過去に最も多かったのが富士通の2850人、次にルネサスエレクトロニクスの約1500人、ジャパンディスプレイ約1200人、東芝1060人、コカ・コーラボトラーズジャパン約950人、アステラス製薬の約700人。各社やっている。いわゆるアメリカ型経営である。

わが国で顕著になったのは1990年代初頭のバブル崩壊以降だったとおもう。失われた20に代表される長期の不景気時代、容易なリストラ方法である。早期退職募集を行う事例が官民を問わず急速に増加した。

戦後の高度経済成長を支えた日本独特の雇用システムを日本型経営と呼ぶ。欧米には見られない「終身雇用制」「年功序列型賃金体系」「企業内労働組合」の三点である。

私は典型的な日本型経営論者だ。志向館に退職はない。好きなだけ働ける。昇給は生徒数の増加等で収入が増えると一律に上昇する。一ヶ月近く入院しても給与はいつもと変わらず支給する。組合は作るように進言している。是非もなく「苦楽を共にする」のが志向館の経営理念だ。

2022年10月17日月曜日

旅行支援


全国旅行支援で多くの人たちが各所に出かけ、これまでのコロナの影響で出控えていた観光地にも観光客が戻ってきているそうだ。大きなうねりとなって経済が活性化されるといい。ところで、ホテルや旅館の世界にはダイナミックプライシングの仕組みがある。コロナ禍では、これまで1泊1万5千円だったところを一泊1万円にして宿泊客を集めていたが、支援が始まるとすぐさま1万5千円に戻すどころか2万円に値上げするようなところもあるとか。一瞬、不実だと思ったが、元々、宿泊業界は盆暮れなど、宿泊客など多く集まるときほど値段を上げるシステムがある。ダイナミックには「動的」「力強いさま」とあるが「力学的」という意味もある。機械的という意味にもとれる。機械は決まった動きをする。経済学的にいうと需要と供給だ。供給(客室)が一定していれば需要が上がると価格は上がる。これは法則だ。決まった動きだ。自分は観光客の立場だし、志向館では「来週から値上げ」など学費の変動は難しい。さらに、塾は国の補助金などいただけない。ダイナミックに変動する宿泊費は実は力学的に変動するという意味かと、ムッとせず、経済の起爆剤となるよう祈りましょう。

2022年9月19日月曜日

不正受給

政府が国民を救うべく手立てを講じてくれる給付金の不正受給が後になって公表される。「なんで交付後に?交付前の審査は?」と思うが、困っていたり苦しんでいる人や会社を救うのが先決だからで、書式を厳格にし、書類を細かくチェックする仕組みを構築している時間もない。スピード感が求められる。そこで、不十分な管理体制でも、とりあえず始めることになるのだろう。不正受給の可能性が予見できても、現地調査など実施せず給付金の交付を始めてしまう。何か月も経過してホームページで受給者の一覧を発表する。総額100億など、驚きの金額が発表される。受給の仕組みを作る政府の役人は高学歴で優秀だ。どうすれば不正を行うことができるかなど、初めからわかっているのだろう。受給のスピードをあげ、困っている人を幅広く助けるという目標は国のあるべき理想である。では、どうすれば不正受給を減らせるかは個人の道徳心や公共心の問題である。不正がある限り刑罰は必要だ。交付の前に大きな予算と労力をかけて不正受給を防止し、不正を暴くのにも大きな時間と労力がかかる。志向館の予備校で倫理を教えているので、イギリスの功利主義のJs.ミルの内的制裁を思い出す。内的制裁の基本は教育にあるだろう。公共心を育み、正義感を育てる教育は学校だけに任せておいても足りない。大人が皆、正しさを教える先生になれば、かなりの国費の節約となろう。