2023年11月19日日曜日

虐待禁止条例案 撤回?

 10月15日の朝日新聞の朝刊に「埼玉県議団の虐待禁止条例改正案 撤回」という見出しがあった。虐待禁止条例を撤回する?これは人権尊重における後退だと思い、最後まで記事に目を通した。ネットでも各所で批判的な内容が掲載されていた。
 埼玉県の場合、自民党の県議会団が示した内容として、ざっと3点、短時間の留守番、子供だけの公園遊び、子供だけの登下校、車内に子供を残して買い物にいく、を「虐待とみなす」として追加改正しようとしたようだ。あくまで、可決しなかった案なので目くじらを立てることもなかろうが、体力と時間の無駄だっただろう。団の示した意見通りに条例が改正されると「子育てできない」という意見が殺到したそうだ。しかし、反発は当然予見されたはずなのに、団の方たちはなぜ?
 関東学院の牧瀬教授は「提案条例の実績が多いという成功体験」から「条例を出すことが目的化されていたのでは」と指摘しておられた。議会は身近な民意の反映を第一義とするものだろうと思う。考慮の無いたくさんの条例案の提出は「県民が」の主語が「おらが団が」に変わってしまう。
 ところで、子供の世話をする割合は、現状で女性の方が圧倒的に多い。ミキハウスの4700名のアンケート調査結果(2022 6月)では94%が女性だ。埼玉の団に女性議員はどのくらいいるのかと、調べてみると2023年6月の内閣府男女共同参画局の発表によると12.8%が女性だった。全国平均が11.8%なので平均以下ではないが、お隣の東京都の全国1位(30.9%)と比較するとずいぶん数字に溝がある。朝日新聞のリード文では「(この条例では)子育てができないと批判が渦巻いた」とある。議員団の女性はこの改正案に賛成したのか。反対しても黙殺されて議案の提出に至ったのか。男である私でもこの案が通るとちょっと困る。
 私の家では幼稚園に通う頃は短時間の留守番はよくさせた。きちんとルールは決めている。いい子にしていればお土産が待っている。公園には顔見知りの年配の方や同じ幼稚園や同じ学校の子どもの保護者がいて安心感はあった。車内に子どもを置いておくことはまずなかった。また、商業施設は子どもを遊ばせておけるスペースのある場所を選んで行った。登下校は保護者が同伴しにくい時間帯だ。条例化するなら、自宅まではむつかしくとも、県が有償ボランティアなど募集をすべきだと思う。子育ては親の教育と地域の連帯で進めていきたい。事細かな法律を決めて、なんとかなるものではない。