2023年9月20日水曜日

集中度を数値化?

 朝日新聞の第3面に「子供の気持ちデータ化・・・」の見出しが目に飛び込んできた。埼玉県の中学で実際に実施したそうだ。リストバンドの端末を生徒に取り付け、脈拍の測定をする。データーはバイタル
DX社が管理し、個人が特定されないように2年間管理されるそうだ。気持ちのデーター化を実施した校長先生は、自分のデーターを見て、「次はもっと集中してみようかな」と思ってくれるといいですね、と生徒におっしゃったそうだ。しかし、管理の行き過ぎを不安視する声が市民から届いたため、倫理運用規定に「倫理的な問題が浮上した場合速やかに対応する」という文言を追加したそうだ。自分の40年の経験から言えることは「教壇から見てればわかる」だ。
 話は変わるが、脳が意識的な活動をしていないとき、つまり、ぼんやりしているときに活性化する神経回路があるそうだ。デフォルトモード・ネットワークDMNという神経活動のパターンだ。医師の伊藤豊氏によると、脳の「内側前頭前野」「後帯状皮質」などで構成されているネットワークだそうだ。ぼ―っと散歩しているときや、コーヒーを飲んで一息ついているとき、とりとめもないことを考えながらシャワーを浴びているときなどに、DMNは活発化しています。反対に、何かに集中しているときには非活性状態なのです。
 DMNが正常に働いていれば、脳内の情報がスッキリと整理されます。また、蓄えられた情報がそれぞれ結びつきやすくなり、新しいアイデアが生まれるというメリットがあります。つまり、DMNが活性化すると、創造力が高まるのです。
 11世紀の中国の文学者・欧陽脩(おうようしゅう)は、文章を考えるのに最も適した場面として「三上」を挙げています。馬上・枕上・厠上(トイレの上)だそうです。
 そうなると、DMNは人間にとって無類の脳の活動です。授業中の集中力を悪く言う気はありませんが、機械を使ってまで集中していたかどうか測定するほど、集中力を絶賛して生徒に機械をつけるは、かなり一面的な価値観でしょう。興味がわく授業を教師が工夫するのがいいと思います。平凡な意見ですいません。