5月15日の朝日新聞に、ヤフオク出品者を提訴した記事が目を引いた。私は中古品の流通については大賛成だ。必要としない品物を必要だと思う人が安価な価格で購入するのは、両者に大きなメリットがあると思っている。
判決は「出品に対する商品説明の詳細は出品者に委ねられている」とし、さらに、商品状態の記載は「あくまでも一つの目安ないし参考情報」と指摘をし、添付された画像の傷以外に原告側が主張している傷は極めて軽微で、実際に一度使用した中古品であることを鑑みると契約不適合があったと認められることはないとの判決だった。要するに、中古品なのだから、写真に示されていない傷がわずかにあったからといって、損害賠償というほどではないという内容だ。
思うに、148万円という額は不誠実な対応に対する損害額にしては高すぎる。また、返品を請求された出品者も、早々に25万円を返して白紙に戻すべきだ。
中古品には傷などの何らかの劣化が必ずあるため、本来、売買は現物を見て判断するのが原則だ。売り手と買い手が直接会って、現物を確認して金銭を払って決済すべきだ。離れたもの同士が画像を説明文だけを頼りに、高額な商品の売買を決めるなどというのは、ある意味、冒険だろう。ヤフオクやメルカリは「もったいない」という美徳を持っている私たちにとっては好ましい制度だと思う。しかし、私も一度、嫌な思いをしたことがあり、嫌な思いをするたくさんの人が出てきて、メディアで報道されると、出品者も買い手も縮小し中古市場の衰退を招きかねない。ヤフオクやメルカリは、さらに安心な制度を考えるべきだ。例えば、郵送などで送られた現物を見て、思ったものと違いう場合は返品できる制度をすべての売買に適応すべきである。中古クーリングオフ制度は必須だろう。煩雑になることも出てくるが、安心感は利用者の増加と制度の維持には欠かせない。