2024年10月22日火曜日

文学賞


 アジア人女性初の受賞は歴史的な快挙である。1010日にスウェーデン・アカデミーが発表した。韓国人のハン・ガンである。作品はいくつかあるが「菜食主義者」という作品を取り上げてみよう。気味の悪い作品だ。主人公の女の子ヨヘンの父はDV男で、野菜しか食べない娘に腹を立て殴り、無理やり口に肉を押し込んで、精神に大きなダメージを与え病院送りにする。ヨヘンは変な夢を見るようになり、飼い犬が娘を噛んだという理由で父親が犬をバイクの後ろに紐を結んで町内を死ぬまで走らせてから家族みんなで食べるという夢が表現されています。追い打ちをかけるのがヨヘンの夫で、ヨヘンの姉は見た目がよくて、お店の経営者、あこがれの人で自分はヨヘン程度でいいかなと思っている。最終的にヨヘンは異常な行動にでる。動物から植物になろうとして、水以外拒否し裸で日に当たるようになり、木になるため逆立ちをして過ごすようになった。もちろん精神病院にはいる。静かに何者でもなくなり死んでいく。男のDV、美とお金の優位性、夫の浮気。韓国が抱えている様々な問題を奇怪な小説のスタイルで表現したのか。そいえば「パラサイト半地下の家族」も似たところがある。カンヌのアカデミー賞受賞作品だ。うまくいきそうに見えて、結局最後は残虐でむなしい終わり方だった。長女はうまく家庭教師に入った豪邸の地下に隠れ住む家政婦の夫に刺されて死ぬ。最後は父は豪邸の地下で家政婦の夫の代わりにこっそり暮らすようになる。長男はお屋敷を買い取って父を救おうというのだが、住むところがなく、また半地下に住む。元の木阿弥。貧乏から脱出不能。絶望感。両方の作品の主人公は女子だと思う。韓国はまだ男尊女卑が根強くDVも多い国だ。また、自殺者は先進諸国で問題視されるほど多いといわれる日本(1617人/10万人)より韓国(28人/10万人)はずっと多い。それぞれの国が取り組まなければならない課題だが、この小説も映画も出口がない。社会問題を象徴しているのだとすれば悲しくなる。今の社会をよく「描きだしている」という文芸評価はよく聞く。しかし「解決策を示している」という評価をあまり聞かないのは私の情報収集力が足りないからか。