2022年6月10日金曜日

円安

円高だと輸入に不利。円安だと輸出に有利と習った。確かに為替のレートを考えてみると簡単だ。例えば対ドルで円の価格が100円と130円では、アメリカで1ドルの品物を買うのには100円で買えるものが130円払わないと買えないということになり、円安は大変だ。輸出はその逆でアメリカがこれまで100円だった品物を130円払わないとアメリカが輸入できないことになり、大変だ。ここ数年前から経済分野では常識になっている話だが、輸出入両方で円高が有利と言われている。毎年、志向館の予備校生には「鋭い洞察の時間」(命名はやや大げさで笑いを込めて)を週に1回、授業の一環として取り入れている。今日の"お題"は「近年では輸出入とも円高が有利」と言われているが、それはなぜか、10字程度で「鋭く答えよ」というのである。寺町の予備校生30名全員が「鋭く」答えられなかった。理由は簡単である。日本の製造業は外国で稼働している会社が多々あり、そこではドル建て賃金で支払うことが増えてきているからである。世界経済は基本ドルで動いているのだ。

政治や経済が必修ではない高校がある。高校で学ぶ歴史や地理(地歴)は生活に直結していないところが多い。役立つことはもちろん多々あるが、内容が細かすぎる。受験では高度な知識を大学側が要求しているのだろうが、日常生活では物価の高い低いは重要だ。物価の上昇下降のメカニズムを学ぶことは学問の領域からして、さほど難度の高いことではない。だから、教えないではなく、ならばみんなが知っていてほしい。そんな知識を知る機会が高校の授業には意外と少ない。