2015年9月9日水曜日

筑波学園都市




ジャクサ H2ロケット実物大 
    東京には大学の4年間住んでいたし、その後も何度も行った。だが、茨城には一度も行ったことがなかった。茨城には伯母が住んでいる。甥夫婦が住んでいる。卒業生のS君が教授をしている筑波大学がある。今日、ひょっこり顔を出してくれたOBもそうだ。志向館の予備校に3年前に通っていた二水出身のA君も同大にいる。このごろになって人的にご縁のある所だと思う。東京から常磐道を通って約90分で「つくば」のICだ。近い。驚いた。ジャクサがある。日本三名園の偕楽園もある。これは…。ちょっと長居をしたくなった。甥は筑波大学の近くの製薬会社で新薬の研究をしている研究員である。甥の上司が甥の結婚式のスピーチでお話していただいた中に、「筑波って所は、その辺の居酒屋で飲んだくれてるおっさんだって研究者なんですよ」という笑いをとる部分があった。笑った。家内とその後、つくばの町を車で移動していると、誰でも研究者に見えて、ご一緒されているご婦人がいると「あれは教授婦人かなぁ、品がいいよね」などと言って家内と2人、学生気分で人を見ては盛り上がった。

  金沢大学は以前は金沢城址にあり、その後、城址からは車で30分はかかる山がちな地形の場所に移転した。学生寮、大学の付属施設、医学部など主要機関と学生の生活スペースが金沢市内に統一性なく点在している格好だ。良し悪しはあるが、私は学園都市なるものに憧れがある。俗世間からやや離れ、どこに行っても研究者と学生という環境は心そそられる。

  「先生!こちらで飲んでおられたんですか」「なんだお前らか、一緒に一杯やるぞ。こっちに来い」「やった!ゴチになりまっす」 つくばの居酒屋でかわされそうな会話を想像してみた。私が大学の1年のときに、先生に誘っていただいたことがある。帰り道で「やー君たち、飯でもおごろうか」といきなり若手の語学講師の先生に声をかけられた。先生は「僕は法政が初めてなんだ。大学のこと教えてくれよ」とおっしゃった。友達と2人、嬉しくってドキドキしながら居酒屋に行った。養老乃瀧だったと思う。飲みなれないビールを注文し、真っ赤な顔になって先生に笑われたのをよく覚えている。

  大学生にとって大人は2種類しかない。先生か会社勤めの人。大学生にとって青年も2種類しかない。学生が会社勤めの人である。モラル正しき社会人の少ない環境では悪しき面も生じようが、社会人としての画一的モラルを身につけ、世のため人のために活躍する前に、学生と彼らを育てる者が占領する町は、自分のために特化できる学生生活を過ごせるユートピアだと思う。