2019年11月6日水曜日

人口減少

厚労省が発表した人口動態で、死亡数から出生数を引いた人口自然減は515864人で、初めて50万人を超えたことが明らかになった。1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数を示す「合計特殊出生率」は1.36で、4年連続で低下した。

2050年問題として提起されている状況は深刻だ。経済格差は広がり、過疎化が急激に進行し、労働力が不足し・・・と、問題を列挙し、そこら中が死の町と化した不幸な未来を予言する人の意見が注目されている。しかし、視点を変えてみるといいこともたくさんある。第一に食料生産やエネルギー問題は人口が減ればその分緩和されるし、第二に人間同士の競争が減り、温かい人間味が戻ってくる。人口の専門家も大きな危機感を感じる必要がないと主張する方もいる。京大の広井先生や上智の鬼頭先生などのご意見も人口減少で慌てる感じはない。

現状の日本を支えるインフラを固定化された視点でとらえれば人口が減って労働力が足りない。AIに仕事を奪われ失業者があふれかえるなど、認否矛盾する議論が各所で各位が叫び人心を迷わせる。しかし、人は何の努力もせずに、現状に甘んじて、じり貧で不幸な世界を迎えるはずはない。問題はバランスであろう。生産性、収益、そして人心。

どんな生き方が幸せかを思い描くことが大事だ。現状を固定的に短期的に見て、物事を判断するものではない。志向館の教材として使った共通テストの2020年の国語を思い出す。サステナビリティよりレジリエンスを重視した内容だった。レジリエンスとは形を変えて持続させることだ。そこに新発見がある。昔から「努力と工夫」と私たちは言ってきたはずだ。