私の進路担当生は21名である。センター試験が終わった翌月曜は自己採点日。
前日にベネッセイのFineシステムを使ってダウンロードした解答を朝一番、マネージャーに
手渡すところから志向館の長い1日が始まる。予備校は午前10時から自己採点スタート。
遅刻者2名。「こら!」と一言、形式的に注意し着席させた。これもいつものことである。
センターの平均が気になるが、概ね去年並みと思う。現代文がやや易化した。英語がやや
難化した。と言っても大勢に影響するほどではない。こうなれば、特に前年の合格ラインに
補正をかけずに、センター直後の面談をとった。予備校生の私の担当では泣いてるやつは
いない。よし!助かった。極端な第一希望を掲げている者は別とし、それ相応戦えることが
嬉しい。この子達は志向館の生徒である。どう言い訳しようと、現実、私たちの責任を痛感
する。これからの私大、2次対策の準備を頭の中で着々と進めた。
12時30分ちょうどに現役トップバッター登場。大概、一番にくる生徒はちゃんと採れている
生徒だ。ニッと笑って「どうやった」という。生徒も目をあげ、パッとした表情で笑ってくれる。
「どうやった」の言葉の時は相手の目を見ていない。わずかに視線をそらしている。4メーター
ほど離れているので、生徒が入ってきたとき、私が玄関に向けた視線は、風景撮影のパノラマ
レンヅのように、広角に捕らえた映像の中に生徒が入っているだけなのだ。目を見るのが怖い
のだ。次の私の言葉を待たずに、「自己ベストやった」とちょっと困ったような言い方をした。
もちろん生徒の頬は上がっている。「やった!」とガッツポーズをみせる私。
3時30分。21名中2名を除き、面談が終了した。休息はとっていない。昼に家内が揚げもちを
作ってくれたので食べたっきりだ。空腹感はないが、目と頭が重い。疲れたと思った。
私の担当生では現役生も予備校生も自己ベストを出した生徒が多かったため、これからの
2次対策講座が盛況になる。いわゆる強気出願です。こうなると今週木曜から始まる第2回
目の面談では抑え気味の進路指導となることが多いのだが、一番大事なのは受験生本人
の納得だ。私たちのすることは、しっかり考え、結論を出した生徒を応援するだけだ。
そうですね。「頑張って!」きっと、「人生に無駄はない」と思います。