ところが、燃焼してもCO2が出ない物質で火を作れるそうだ。日本は総発電数の70%以上を化石燃料に頼っているのが現状。先進国の脱酸素化のトレンドからすると、肩身の狭い日本にとってはありがたい話である。
JERAの奥田久栄 副社長のお話では、カギを握るのは「アンモニア(NH3)」と「水素(H2)」で、化学式からもわかるように、この2つにはCが含まれていない。つまり、燃やして酸素と結びついても、CO2が出ないのだ。特にアンモニアに注目しているそうだ。新しい燃料を扱う際は、それに適した新しい発電設備をつくる必要があるのだが、アンモニアの混焼(混ぜて燃焼)は、既存の発電設備を少し改造するだけで実施できるそうだ。石炭火力は80メートルもあるボイラーという炉で燃やされ、水を蒸気に変えてタービンを回すのだが、簡単に言うと、CO2を出さない火力では、石炭の代わりにアンモニアを燃やすのだそうだ。それも今使っているボイラーをそのまま使えるので、設備投資がかなり節約できる。
気になるのはアンモニアの調達だが、地球に眠っている土を掘り返さなくて済みそうだ。電気は使うが、工場で作ることができ、技術力で勝負できるのは日本にとってありがたく、資源を持つ一部の国に依存する割合が減り、資源をめぐって政治的な対立が起こりにくいと予想される。いずれ、レアーメタルなんぞなくても、いろいろな製品が作れるような時代がきっと来るように思う。技術立国に生まれた高校生諸君よ!勉強しましょう。